用  語
フロントステア・リアステア
コインを転がすところを想像してください。
もしくは、転がしてみてください。
最初はまっすぐ進んでいきますが、速度が落ちると倒れそうになり、傾いた方向に曲がっていきます。
そうして、円を書いて倒れます。
このときのコインの動き、これがリアステアです。
円盤状のものは、直立して転がると直進しますが、傾くと傾いた方向に曲がっていきます。
このときの動きでバイクは曲がっていきます。
前輪は、後輪の動きを邪魔しないように後輪につられて向きを変えるだけです。
事務椅子や台車などのキャスターは、回転軸と車軸がオフセットされており、動く方向の後ろ側に車輪が引きずられることで安定します。
バイクの前輪も、車両の一番前についているように見えますが、ステリングステムを延長していけば前輪アクスルシャフトよりも前で地面と接します。
そのため、前にあっても後輪に「引っ張られて動いている」のです。
フロントフォークの角度を「キャスター角」というのはそのためです。


フロントステアの旋回理論についてはそれほど詳しくないのですが、イメージとしてはリアステアが後輪メインで前輪はオマケ、バンクのきっかけを与える程度の意味なのに対し、
もっと積極的に前輪を使ったコーナーリングと認識しています。
前輪というか、タイヤですね。
リアステアのときの前輪には、あまり加重がかからないか、かからないようにライディングしますが、
フロントにも積極的に荷重をかけて、フロントタイヤも使ったコーナーリングがフロントステア。
私が乗った(試乗した)中では、GSX−R750などはフロントタイヤを潰すような意識で曲がると前輪がグイグイと向きを変えていくので、「おお、これがフロントステアというやつか」と思ったしだいです。

リアステアのバイクは、いわゆる普通のバイク。
昔からのトラディショナルな旋回理論。
フロントを積極的に使うようになったのは近年のことで、そのきっかけはタイヤです。
高性能なラジアルタイヤの出現により、タイヤに負担をかけないリアステアの走りから、積極的にタイヤを使った走り方に変わって来たのです。
タイヤと路面との間で大きな力のやりとりが可能になったので、シャーシにも高剛性が求められるようになり、アルミフレームツインチューブ化が進んできたのです。

乗り方の区分けとしては、スーパースポーツなどの高剛性フレーム、低いハンドル、高いシート高、扁平タイヤのバイクはフロントステア。
ネイキッドなどのフレームのしなりを生かしたシャシ、高いハンドル位置、低いシート高のバイクは、リアステア。
と、漠然と考えております。

リアステアの方がライダーに取って自然な乗車感なので、街乗り、ツーリングをメインとしたバイクはほとんどがこちらでしょう。

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